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2013-01-04

小説の感想(夢違/恩田陸)


夢違/恩田陸

ネタバレ注意

本を読んだので感想を書きます。

作品の内容について書くので、内容を知りたくない人はこの先を読まないでください。

どうせこの本を読むこともないだろうという人は読んでも大丈夫ですが、特に作品の紹介をするわけでもないのでそういう人にとってはきっとつまらない文章になると思います。

つまりは「夢違/恩田陸」をすでに読んだ人向けの感想です。

 

 

感想

ついつい世界観に引きこまれて一気に読んでしまった。

492ページも。

読み終わって最初に感じた感想は、結衣子は生きてるのか死んだのか、ということだった。

 

結衣子の生死について

486ページで頭がかくんと傾いて、みんながハッとした、という表現があったので死んだのだと思った。

しかし、いろいろ見返していたら258ページでかくんと頭が沈んだという表現があり、この時は夢が終わったことを示す表現だった。

つまり、今まで夢を見続けていた結衣子が浩章の呼びかけによって夢を見るのをやめた、という表現にもとることができる。

みんながハッとしたのは、単に動かかなかった結衣子が動いたからという事実で、何かを匂わせたというわけではないという解釈。

 

結衣子が生きている場合

もし仮に結衣子が夢を見るのをやめて目覚めたとする場合。

浩章が結衣子を見つけたのは3/12で、結衣子と浩章と会う日付が3/14月曜日と表現されています。

100年とか400年とかのうるう年の計算を考えないで、うるう年が4年に一度だとすれば、おそらく次の3/14月曜日が訪れるのは28年後になります。

そしてこのふたつの日付は同じ年。

文中で結衣子が若い女と表現されていることから、おそらく見つけてから二日後の3/14でしょう。

しかし結衣子の年齢はおそらく30~40であり、若い女と表現するのはいささか不自然である。

だが文中では顔は若いままだったとあったのでそのことを指しているのであれば整合性はとれている。

髪の毛が全て真っ白だったのが黒くなっていたり、足がやせ細っていたのにしなやかな動きでパンプスを鳴らすまで歩けるようになっていたということは、まあ時間跳躍をする結衣子ならどうにかなるんじゃないのだろうか。

 

書いていて今思ったのだが、前述の内容は、生きていて生身の体で会いに来る場合の話であって、生きているが夢で会いに来るという可能性もあるということに気付いた。

生きていたら中身の体で会いに来ると考えてしまう盲点だった。

それならばなんでもありなので特に何も問題はない。

 

結衣子が死んでいる場合

結衣子が死んだ場合、岩清水の主張によると万能の存在になるらしく、それならばなんでもありになる。

自分を現実に投影することもできるし、きっと自分の精神世界に浩章を取り込むこともできるだろう。

最終章が浩章目線から描かれているので、これが結衣子が見てるただの夢とは考えづらい。

現実に姿を投影してるか、浩章が結衣子の夢にいるかのどちらかだろう。

 

どちらでもない場合

どちらでもない場合、正確にいえば、3/12の結衣子は死んだが、3/14の結衣子は生きている場合。

つまり時系列の入れ替えが発生している場合。

 

結衣子が旅館の前に現れたとき、やけど、全身打撲、髪が真っ白という状態だった。

そして事故の発生日から3週間の時間跳躍をしていた。

小学生の時も3週間で、小学校の神隠しも3週間だったので、事故からそのままここに時間跳躍をしたのだろうと最初は考えていた。

 

ここで事故の発生時に行った時間跳躍は3/12の結衣子の死後だとする。

無傷で3/13に浩章の前に時間跳躍し、3/14に浩章と会う。

そして年を取り、髪が真っ白になった時になんらかの理由で怪我を負い、もう一度時間跳躍をして旅館の前で発見される。

これなら3/14に浩章が夢違観音にいい夢を見せてやってくれと祈っていたのもわかる。

事故当時の結衣子はおそらく20代だろうから若い女と表現していたのもわかる。

現実世界で、浩章と会うことができるだろう。

 

個人的にはこの線を支持したい。

やっぱり現実の世界で生身の体で救われて欲しいから。

浩章の奥さんと三角関係になるのではという懸念もあるにはあるが、浩章の奥さんの良妻ぶりでいったら全てに気付いた上で見なかったことにして浩章を支えてくれる気がする。

お互いに精神的な穴を埋めるだけで、浩章と結衣子は結婚とかそういう話にはなんない気がするなあ。

 

というわけでとりあえず整理してすっきりした

他にもいろいろ疑問点もあるにはあるが、それはいくらでも自分の中で消化できるのでよしとする。

生体チップが結衣子の夢にも反応したとか。

防犯カメラに映ったということはそこには光を反射する物体が存在したということとか。

 

あとはあえて説明が描かれていない部分も多いが、それはきっとこうやって読者自身にいろいろ考えさせるためだと思う。

結衣子が生きてるか死んでるか明言されていないところとか。

浩章が見た夢はなんだったのかとか。

夢の中に出てきたのがなんで八咫烏なのか、サッカーや野球はなんだったのかとか。

山科早夜香とその周辺の話とか。

和水仙とか。

結衣子の同時多発的出没とか。

大事故とか。

小学校の集団神隠しとか。

とかとか。

 

読者自身が考えることによって読者もこの世界を補完する一部になる。

そしてそれはつまりこの世界に影響を与えているし、この世界にも影響を与えられているということ。

夢はそとからやってくる。

 

 

まとめ

夢違というのは違う夢を見せること。

結衣子がいい夢を見れるように祈る話だったと思う。

そして結衣子が見た夢の話し相手はきっと未来の自分だったと思う。

 

あと気になったのは、カタカナの「ミ」のフォントが気になった。

このフォントはなんだろう。

字が繋がっててミだけ浮いてた気がする。

 

最後に、この感想を書いてる途中で何度も検索をしたくなった。

重くて読むときに本を持つの疲れたし。

こういう時は電子書籍が便利だ。

紙をパラパラめくれる電子書籍の登場が待ち望まれる。