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チャットはコンテキストを適切に分けることが大事、分報とリアクションの組み合わせで心理的安全性の構築に役立てる

Published 2018.5.12 by 菅原 浩

最近チャットのことをよく考えている。
ある程度の認識が自分の中で固まってきたのでここで一旦まとめる。

前提

チャットは難しい。
チャットをうまくしたらすべてが解決するとは思ってなくて、少しでも現状を良くするためのツールとして使う。

チャットのいいところは

というところ。

この記事では書いていないこと 2018.5.27 追記

チャットで重要なのはコンテキスト

チャットは文字に残ることで複数の人が非同期的にコミュニケーションをとることができるというメリットがある。
このメリットを有効的に使うためにはコンテキストを適切に分ける必要がある。
コンテキストはチャンネル、スレッド、ルームなどで分ける。
コンテキストを適切に分けることで情報のやりとりがスムーズになる。

チャットの種類

一口にチャットと言ってもすべてのチャットを同じように扱えばいいわけではない。
実際の会話に雑談や会議といった種類があるようにチャットにも種類がある。
雑談のようなチャットでは気軽に書き込むことができるし、会議のようなチャットでは書き込むのに慎重になる。
チャットの種類は発言する場所がどのようなコンテキストを持っているのかによって決まる。

チャットのコンテキストが混ざるとコストが増加していく

チャットはコンテキストが混ざると書くコストも読むコストも増加する。
チャットは 1 つのチャンネル、スレッド、ルームの中で発言が時系列にしたがって流れていく構造になっている。
この 1 つの流れの中に 2 つ以上の話題があったらそれはコンテキストが混ざっている状態と言える。
チャンネル、スレッド、ルームで話されている内容に見合わないほど多くの人が参加している状態もコンテキストが混ざっている状態と言える。

適切なコンテキストがないと発言しづらくなる

例えば A さんが下記のようなチャンネルに参加していたとする。

A さんが No. 1 のイシューについて B さんに聞こうとした時にどのチャンネルで聞くのが適切だろうか。
チームチャットでは別の話題が話されており、流れを遮って聞くのはチャンネルの参加者全員にチャットを読むコストが増加する負担をかけてしまう。
しかし全社チャットではそれ以上にいろんな話題が話されており、参加している人数も多い。
ダイレクトチャットで聞いたら他の人への負担はかからないが、質問内容を他の人も知りたかった場合などに知識が資産として蓄積していかない。
上記のような状況だと適切なコンテキストが見つからず発言がしづらくなり、知識の共有が滞ってしまうなどの問題が起きることが考えられる。

この時

というような、 No. 1 のイシューについてのみ会話しており、参加している人も関係者だけ、というようなチャットがあれば発言するコストが下がり、スムーズに知識が共有できると考えられる。

コンテキストが混ざっていると読みづらくなる

あるチャンネルで下記のようなやりとりが行われていたとする。

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9
A さん: B さんに No. 1 のイシューについて質問
C さん: D さんに No. 2 のイシューについて質問
B さん: No. 1 のイシューについて回答
E さん: B さんに No. 3 のイシューについて質問
A さん: B さんに No. 1 のイシューについてさらに質問
F さん: 作業内容のちょっとしたつぶやき
B さん: No. 3 のイシューについて回答
A さん: No. 1 のイシューについての質問に追記
D さん: No. 2 のイシューについて回答

このようにコンテキストが混ざっている状態だと、読みながら脳内で話をつなぎ合わせたりする必要があり、読むのにとてもコストがかかる。
このやりとりを 1 つのチャンネルではなく、下記ようなチャンネルに分けてやりとりをしていたとする。

このように適切なコンテキストに区切ると下記のようなやりとりになる

1
2
3
4
A さん: B さんに No. 1 のイシューについて質問
B さん: No. 1 のイシューについて回答
A さん: B さんに No. 1 のイシューについてさらに質問
A さん: No. 1 のイシューについての質問に追記
1
2
C さん: D さんに No. 2 のイシューについて質問
D さん: No. 2 のイシューについて回答
1
2
E さん: B さんに No. 3 のイシューについて質問
B さん: No. 3 のイシューについて回答
1
F さん: 作業内容のちょっとしたつぶやき

発言されている数に変わりはないが、このように非常に読みやすくなり、読むコストを軽減することができる。
さらに、自分に関係のあるチャット、関係のないチャットを細かく制御することができるので、不要なチャンネルには参加しないことで読むチャットの絶対量を減らすことができる。

コンテキストを適切に分けることが大事

コンテキストを適切に分けることで書くコストも読むコストも減らすことができる。
チャットの種類に応じて相性のいい形でコンテキストを分けていく。
多くの発言を促すためには狭い話題で少ない人数で区切り、書くコストを下げて発言をしやすくする。
多くの人で共有しておいた方がいい内容を話す場合は多い人数で区切り、書くコストを上げてしっかり推敲された文章だけが流れるようにして全体にかかる読むコストを下げるようにする。

情報の透明性とチャット

情報の透明性とはすべての情報を公開することではない。
情報の透明性とは、ある決定事項とそこに至る経緯を正しく共有すること。
情報の透明性が高いことによって情報の格差がなくなり、個人個人が合理的な判断を取れる可能性が高まる。
大事なことは決定事項とその経緯の共有であり、全員がすべてのチャットを読む必要はない。

心理的安全性とチャット

心理的安全性とは、自分が自分のままでいることができる雰囲気のことである。
心理的安全性が構築できていないと、発言することが恐怖になりチャットが機能しなくなる。
心理的安全性を構築することはとても重要である。

分報が心理的安全性の構築に役立つのではないかという仮説

分報とは下記のようなものである。

分報を経験して「自分の部屋を持つ」ということがとても価値のあることだと感じた。
特定のコンテキストで区切られたチャンネルで発言する時は、発言の先に必ず誰かが存在する。
質問であったり、回答であったり、情報共有であったり、誰かに向けて発言するものである。
しかしこれが自分の部屋というものを持つことによって、誰にも向けていない発言をすることができるようになる。
自分の部屋で自分が自分のまま発言することができる。
これによって少しずつ自分を開示していくことができ、わからないことをわからないと言えるようになるなど、心理的安全性の構築に役立つのではないかと考えている。

リアクションの重要性

発言に対するリアクションは下記の 2 点で重要である。

リアクションはチャットの流れを阻害しない

リアクションは局所的にコンテキストの支流を作ることができる。
例えば誰かの発言に感謝したい場合に、全員がありがとうございますと返信すると下記のようにチャットが読みづらくなってしまう。

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A さん: ○○ をリリースしました
B さん: ありがとうございます
C さん: ありがとうございます
D さん: ありがとうございます
E さん: □□ の件は問題なかったでしょうか?
F さん: ありがとうございます
G さん: ありがとうございます

こうなってしまうとチャットに参加している人の読むコストが増加してしまう。
さらに気付くまでに時間がかかった場合はすでに他の話題になっている場合があり、特定の発言を直接指定しないとどの発言についてなのかがわからなくなっているので、さらにコンテキストが混ざって読みづらくなってしまう。
しかし発言していないからといって感謝していないというわけではない。
そのような時にリアクションをすることによって、特定の発言に対して局所的にコンテキストの支流を作って本流の流れを阻害せずに感謝などの意思を伝えることができる。

リアクションは発言に対する反応を計測できる

これらの要因によってリアクションを行う敷居が低くなる。
敷居が低くなった結果として、リアクションがよく行われるようになる。
リアクションがよく行われるようになると、発言に対する反応を計測できるようになる。
この、発言に対する反応の計測は、心理的安全性の構築に役立つと考えられる。
例えばチャットで質問した時に、その質問にいいねのリアクションがついたりすると、聞いてよかったんだと実感できて不安が軽減されるなどの効果がある。
カスタム絵文字を使うとより適切な絵文字を選ぶことができるようになり、さらに具体的に反応を計測できるようになる。

分報とリアクションは相性がいい

分報で心理的安全性を構築する際に、さらに効果的にするものがリアクションである。
分報によって自己を開示しても、フィードバックを得られなければ心理的安全性は構築できない。
リアクションによって、発言よりも簡単にフィードバックを得ることができる。
分報で自己開示した発言にリアクションがつくことによって、受け入れられることを観測することができ、自分は自分のままでいていいんだと実感して、心理的安全性が構築されていく。

まとめ

参考